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投げ技の極意は"手を遊ばせる"ことである
「鬼横山」
の異名を持つ横山作次郎は、弟子たちを指導する際に、面白い言葉を残しています。
「柔道は腰でやるんだ。手を遊ばせておくようでなくてはならない」
横山作次郎は、江戸時代〜明治時代にかけて活躍した、古い柔道家です。
この指導方法は、現代柔道にも通ずる実戦的な考え方であると言えます。
何分昔の方の言葉ですから
「手を遊ばせておくようでなくてはならない」
という言い回しが、少し分かりにくいかもしれませんが、要するにこれは
「腕力を使うな」
ということです。
横山は、柔道の試合中は極力手に力を込めず、ぶらぶらと脱力した状態で遊ばせるべきだという事実を、今から100年以上も昔に知っていたのです。
腕力で勝負してくる相手ほど制しやすい
柔道において、腕力で闘おうとする者ほど、制しやすい相手はいません。
同程度の体重と体格を持つ相手を、腕力で投げようとしても、力が拮抗して上手くはいかないからです。
それどころか、力を込めてぎゅっと固くなった体は、少し力を加える角度を変えてやるだけで、簡単に投げ飛ばすことができます。
体に力を込めて固くなるのではなく、常に脱力して相手の力を受け流す…これが俗に言う
「柔よく剛を制す」
というものです。
腰と足さばきが重要
横山作次郎が指導したように、柔道の試合で相手を投げるためには、腕力に頼ってはいけません。
手は程よく脱力させ、相手のどんな動きにも対応できるように備えておくのです。
相手を投げるために使うのは、腕力ではなく
- 腰
- 足さばき
です。
体を柔らかくして相手の攻撃を吸収しながら、勝機を見つけて腰を入れ、足を踏み込んで一気に投げる。
これが横山作次郎が語った柔道の極意
「手を遊ばせる」
ということなのです。
投げ技を効率よく出すために反復練習を行う
「手を遊ばせる」
ことが柔道における、投げ技の極意であることは既にご説明しました。
しかし手を脱力させた状態で相手を投げることは、言葉でいうほど簡単なことではありません。
実際にそう意識して試合を行うと、多くの人は自分が、これまでどれほど腕力に頼っていたのかに気づくはずです。
試合で、いきなりやれと言われて出来る人は居ません。
腕力に頼らない投げ技のコツは、地道に反復練習をして習得していきましょう。
実戦練習が出来れば好ましいのですが、壁に巻いたタオルやゴムを相手にすれば、一人で自主練習することも可能です。
無意識に動けるように反復練習
この反復練習で大切なのは、
- 「腰」
- 「足」
の動きを体に覚えさせることです。
腰に相手を乗せて投げる、腰を回すときの力で相手の体制を崩すなど、柔道では腰の使い方を覚えることが必須です。
また、腰の機能を十分に発揮するためには、力が100%伝わる最適な場所に足を置くことのできる、卓越した足さばきが役立つのです。
- 腰をどのようにひねるのか?
- 足はどこに置くべきなのか?
そうしたコツを、頭の中で整理してから出そうとしても、試合中の相手は待ってくれません。
反復練習を行うことで、無意識に腰や足を動かせるようにしていくと、素早く効率的な投げ技が出せるようになるのです。
勘の良い方なら実践で自然と覚えていくことですが、こうした腰の使い方や足さばきというものは、一朝一夕で身につくものではありません。
何度も反復練習を行って、最適な動きができるよう鍛錬を重ねていきましょう。
投げ技が失敗した瞬間こそが勝機
実力の拮抗した相手との闘いで、投げ技が一発成功する可能性は高くありません。
相手も常に投げられることを意識して、逆方向に力を加えていますから、やみくもに投げ技をかけても失敗することでしょう。
しかし、柔道では
- 投げ技が失敗した瞬間こそが勝機
となります。
例えば、こちらがかけた大外刈りを、相手が耐えきったとしましょう。
相手は大外刈りに耐えるために、太ももに力を加え、やや前傾姿勢になっているはずです。
そのタイミングで、すかさず払い腰を入れるとどうなるでしょうか。
大外刈りに耐えるための姿勢になっていた相手は、腰にかかった負荷に耐えられず、足を浮かせてしまうかもしれません。
それも耐えられたらもう一度大外刈り、そこから支釣込み足…というように、連続技を入れていくのです。
投げられないように耐えるためには、技によって違う方向に力を加えなければなりません。
連続で投げ技をかけることで、相手は耐えるための力を加えるのが間に合わなくなり、いずれは倒れることでしょう。
連続で投げ技をかけることは、それ自体がフェイントのような役割を果たすのです。
それも、ひとつひとつが必殺の威力を持ったフェイントです。
最も投げやすい瞬間
投げ技をつなげることで、相手の体は様々な方向に揺さぶられ、耐えるのに必死で反撃どころではなくなっていきます。
主導権を渡さずに、相手の体力をどんどん消耗させていくことも可能なのです。
得意な投げ技が失敗してしまったからといって、落ち込む必要はありません。
相手に投げ技を耐えられてしまった瞬間は、相手が油断し、相手の体に力が入って固くなり、相手の体力が消耗した
「最も投げやすい瞬間」
でもあるのです。
千載一遇の勝機を逃さないために、得意な投げ技には、別の投げ技をつなげられるように練習しておきましょう。
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