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【大昔から存在していた「切り返し」】
しかしどの流派・地域の剣道であっても、必ず行っているであろう稽古法のひとつが
- 「切り返し」
です。
一応説明しておくと、切り返しとは正面打ちと左右面打ちを組み合わせ、剣道の基本的動作を繰り返し練習するための動作です。
剣道を始めて間もない初心者はもちろんのこと、剣道歴数十年の上級剣士であっても切り返しを怠ることはありません。
全日本剣道連盟でも統一規格を設けているほど、切り返しは剣士にとって重要な稽古法なのです。
しかし切り返しという稽古法そのものは近年になって生まれたものではなく、全日本剣道連盟が誕生するよりも遥かに大昔から存在していたことが分かっています。
その起源には諸説ありますが、北辰一刀流の開祖・千葉周作が
- 「切り返し十徳」
という指導要綱を記述した資料が遺されていることから、切り返しは少なくとも江戸時代には存在していたのではないかと言われています。
古くから残っている練習が必ずしも良い…というわけではありませんが、効果の薄い稽古法ならとっくの昔に廃れていたはずです。
切り返しは地味で地道な稽古法ですが、
「たしかな上達効果が見込める」からこそ長い剣道の歴史のなかで生き残り続けてきた
のだと考えることができるでしょう。
剣道切り返し動画
【切り返しにはどんなメリットがあるのか】
切り返しには剣道の基本動作が全て詰まっていると言っても過言ではありません。
毎日繰り返し切り返しを行うことは、
- 初心者剣士にとって「基本動作を学ぶこと」
- 中級・上級剣士にとって「基本動作を忘れないこと」
に大いに役立ちます。
さらに細かく言うなら、
- 「構え」
- 「打ち」
- 「足さばき」
- 「間合い」
- 「呼吸法」
- 「体力」
- 「気力」
などを向上させることに繋がるのです。
構えだけを練習する、打ちだけを練習する…といった稽古はもちろん必要ですが、それら全ての動作を「同時に」使いこなすための稽古は必要不可欠です。
つまり切り返しは、剣道の基本動作を同時に練習できるうえ、剣道の基本動作を同時に使いこなすためのコンディション作りにも一役買っているのです。
また、意外と馬鹿に出来ない効果が「準備運動・整理運動」になるということですね。
切り返しは基本的に稽古の序盤と終盤に行われますが、これが剣士の身体を無理な運動から守るために役立っているのです。
いきなり試合や激しい稽古をしても身体が付いてこないので、まずは切り返しで身体を温めてから動く…というのが選手生命を長続きさせるためのコツでもあります。
【正しく切り返しをするためのコツ】
試合での勝率はそれほど悪くないのに、なぜか切り返しが下手…という不思議な選手がときどきいます。
そういった選手は瞬発力や動体視力といった持ち前のセンスに任せて剣を振るっているので、基本動作の集大成である切り返しを苦手としてしまうわけです。
センスに任せて試合をするのが悪いということはありませんが、その状態で慢心してしまっては、いずれ徹底的に技術を磨いた選手たちに勝てなくなってきます。
そうならないためにも、現時点で「切り返しが苦手だ」という方は、正しい切り返しの方法を学び直しておきましょう・
正しく切り返しを行うためのコツですが、単純に
- 「正しい動きを真似する」
のが確実です。
全体のフォームを真似するのではなく、姿勢・構え・竹刀の握り方・足の運び方など、上手い人の動きを細かく分割して観察してみてください。
自分の動きと違う箇所をひとつひとつ潰していくことで、結果的に綺麗な切り返しが行えるようになってきます。
上手く真似できない場合は、とりあえず「ゆっくり確実に行う」ことを目標にしてください。
上級者の切り返しは目で追えないほど速いですが、下手な人がいきなりそのスピードをトレースしようとしてはいけません。
まずはゆっくり確実に動きを真似して、フォームが綺麗になってから少しづつスピードを上げていってみてください。
上級者の切り返し動画
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